老松酒造
宍粟の風土と職人の想いに醸され、
地元の人々の晩酌を彩る銘酒。
代表銘柄の「スエヒロ老松」が地元で人気と聞きました。

酒蔵の中を分かりやすく説明してくださる
前野久美子専務。
多くのお客様を案内してきた
私どもは江戸中期の明和5年(1768年)に、山﨑藩城下町のこの地で創業しまして、250年に近い歴史があります。
以来、宍粟の人々に地元の酒として大切にしていただいてきました。
宍粟の人々にとって、この「スエヒロ老松」は晩酌の一杯に欠かせない存在です。
書体もラベルのデザインも馴染みのあるものとして、見学に来てくれる地元小学生も「お父さんが飲んでるよ」と知ってくれているほどなんです。
他のお酒を飲まれていても、なぜかスエヒロ老松に戻られるようで、それだけ宍粟の人々の食文化に根付いてくれているのかなと、嬉しく思っています。
酒造りへのこだわりはどんなところですか?

宍粟地域のおいしい丸みのある伏流水が、
地元の人に愛されるお酒を醸す
ここ宍粟地域は周囲が山に囲まれた盆地で、酒造りに適した酒米が豊かに実るところです。
それに丸みのあるおいしい伏流水を使って、丹波杜氏が寒造りの低温長期発酵で仕込んでいます。
機械はひとつも使いませんので、まさに昔ながらの手造り。
麹の微妙な温度管理なども経験と勘がすべて。
うちの杜氏の情熱に、蔵元として深い信頼を寄せております。
決して派手さはありませんが、「呑む方の心を打つ一献を」との思いで作っていますね。
また材料にもこだわっておりまして、兵庫県産の夢錦と山口県産の日本晴、この酒米の一等米だけを使っています。
この酒米が宍粟の風土と老松の酒蔵に合うのだと思います。
おもしろいことに酒粕も人気で、常連さんには予約してもらっているほど。
おいしい材料を使っている証かなと思っています。
最近は「古酒 善次郎」が注目されているとか。

地元のお客様や日本酒ファンとの交流を
大切にしている前野正晶代表取締役
創業240年の時に記念して醸した商品です。
「善次郎」とは4~8代目が襲名してきた名前。
現在は名乗っておりませんから、せっかくならと記念のお酒につけさせてもらいました。
5年貯蔵の古酒になりますが、美しい琥珀色で白ワインやブランデーのような、ふくよかな味わいを醸しております。
「スエヒロ老松」は地元の食文化に根付いた幅の広いお酒ですが、この「善次郎」は洋食に合うので、華やいだ席などにもおすすめです。
贈答用に使ってくださる方も多くいらっしゃいますよ。
老松を代表する名前「善次郎」は、実はお酒だけではありません。
平成21年のこの地域での台風災害への義援金になればと思い、地元のこけし作家さんの協力を得て「復興こけし 善次郎」も誕生しました。
宍粟産のヒノキを使ったかわいい作品として人気です。
私どもは地元の方に愛していただいて、今まで酒造りを続けてきましたので、地元への想いも強いものがありますね。
地元密着型の酒蔵というわけですね。

資料室には貴重な写真や道具が展示されており、
日本酒ファンを楽しませてくれる
毎年ゴールデンウィークには「蔵開き」というイベントを行って、地元の方や日本酒ファンの方に酒蔵を開放しています。
蔵見学や利き酒、日本酒の販売など、にぎやかに盛り上がります。
酒蔵や資料室をご案内して、うちの酒造りの様子や歴史をお話させていただくのですが、皆さん、毎年楽しみにしてくださっているので、こちらも張り合いがありますね。
とくに資料室は昔の酒造りの道具がたくさんありますので、日本酒ファンの方には珍しがっていただいているようです。
これからも地元の方に老松の日本酒を大切にしていただきながら、一緒に何か新しい商品を創ったりできればおもしろいですね。